専門職社会人音楽家が音楽について書いています。

選曲

次に何を弾こうかな!
選曲の楽しみは、演奏者の醍醐味。

素敵な曲だわ!は、もちろん最高のモチベーションです。
もうちょっとこの作曲家を深めよう、も良い心がけですよね。

自由な大人であるわたくしは、テーマを作って1年ぐらいのまとまったプログラムを作っています。
幸いにして、完璧を求められているわけではなさそうなので、難曲でもかなり気軽に手を出します。後悔しますが。
1年ぐらいたつと、60~80分ぐらいのプログラムになります。
数人で開催するコンサートにちょうど良い感じです。

例えば、昨年の場合
”幻想”を主題にしました。
ショパン ポロネーズ”幻想”
ロベルト・シューマン ”幻想曲”
ホアキン・トゥリーナ ”幻想舞曲集”
連弾 ベルリオーズ ”幻想交響曲 舞踏会”

組曲1冊弾き、もよくやります。4年ほど前のチャレンジ。
ラフマニノフ 楽興の時、コルレリ変奏曲 
後悔することも多いですが、うわっと思った曲が、多少なりとも手の内に入ってくるとき、楽譜の中の、彼らの暗号を見つけたとき、それは時に誤植の発見でもありますが、そこには無上の喜びがあります。
元来が研究者なので、追求し始めると、弾かなくなり、楽譜と文献に埋もれる日々になってしまいますが、わたしにとっては機械的な練習よりもはるかに大事な時間です。
見られる限りの版を見比べ、古近東西の巨匠や新人の演奏を聴き、弾くべきものを決め、だから、ここはこのように響かせたいと思います、と主張できたとき、たとえ違う意見だったとしても、作曲者は微笑んでくれると思うのです。

選曲に迷ってしまい、先生にお任せ、の方が結構多いようです。
もちろん、経験豊かな先生が、その方の演奏力や向き不向きを考えて、決めてくださるのは良いことです。
でも、自分が素敵だと思った曲、弾きたいと思った曲を弾く。これって、大人の醍醐味ではないかしら。
先生に提案してみたら、玉砕した、という話はよく聞きます。
あまりに無理なものは、文字通り怪我のもと、ですからおすすめしません。
ですが、玉砕の理由が単純に先生がお得意でない、等の理由だったり、他の人が弾く、とか、去年弾かれた、などの理由であることもあります。
弾きたい、と思うものは、独学でも弾いてみるとよいと思います。
幸いにして、いまはたくさんの楽譜が比較的簡単に手に入ります。
新しい作曲家や、ジャンルに挑戦していくのも楽しいことです。
そして、楽譜は、ぜひ正規に購入して使用してください。作曲家を守ることは、遠い未来の音楽を守ることにつながりますから。