専門職社会人音楽家が音楽について書いています。

ノクターン(夜想曲)

ショパンの楽曲の中では、比較的取り掛かりやすいのがノクターンと言われています。
短い曲、超絶技巧が少ない、のがその理由。しかし、つまらない曲にせず、素敵に聞かせるにはむしろたくさんの技巧と、センスが必要です。2番があまりに有名で、小学生でも弾いてしまうので、簡単かと思われるのが誤解を生んでいるかも。
わたくしが思うところの難易度を記載してみます。

比較的平易  6番op.15-3、2番op.9-2、21番(遺作)
少し難しい  9番op.32-1、11番op.37-1、15番op.55-1、19番op.72-1、20番(遺作)、1番op.9-1、10番op.32-2
やや難しい  3番op.9-3、4番op.15-1、5番op.15-2、7番op.27-1、13番op.48-1、14番op.48-2
少々難しい  8番op.27-2、12番op.37-2、16番op.55-2、17番op.62-1、18番op.62-2
作品番号順にみてみましょう。

難易度☆~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
1番 op.9-1 ☆☆☆☆☆
2番 op.9-2 ☆☆☆☆
3番 op.9-3 ☆☆☆☆☆☆
4番 op.15-1 ☆☆☆☆☆☆
5番 op.15-2 ☆☆☆☆☆☆
6番 op.15-3 ☆☆☆☆
7番 op.27-1 ☆☆☆☆☆☆
8番 op.27-2 ☆☆☆☆☆☆☆
9番 op.32-1 ☆☆☆☆☆
10番op.32-2 ☆☆☆☆☆
11番op.37-1 ☆☆☆☆☆
12番op.37-2 ☆☆☆☆☆☆☆
13番op.48-1 ☆☆☆☆☆☆
14番op.48-2 ☆☆☆☆☆☆
15番op.55-1 ☆☆☆☆☆
16番op.55-2 ☆☆☆☆☆☆☆
17番op.62-1 ☆☆☆☆☆☆☆
18番op.62-2 ☆☆☆☆☆☆☆
19番op.72-1 ☆☆☆☆☆
20番(遺作) ☆☆☆☆☆
21番(遺作) ☆☆☆☆
こうしてみると、例えば、作品32の9番、10番などは難しさが同じ程度で、組にして弾きやすいでしょう。他の楽曲でもいえることですが、組曲になっているものは、抜粋せずにまとめて弾くようにすると作品の全体像がわかるのと思います。
難易度分類をいたしましたが、指のテクニックだけが音楽ではありません。これらの曲は「こども」が弾けるものではございませんが、8歳でも深い何かを表現できる「おとな」ならば良いものになるでしょう。
楽譜のおすすめ:コンクールに出なくても、音大を受験しなくても、やはりエキエル版が良いと思います。ヘンレや原典版は譜割りが見やすい点がおすすめ、パデレフスキは音楽的表現がよい場合があります。また、細かい指示は版によりかなり違います。いくつかの版を比べてください。自由な大人であれば、気に入った表現をミックスして採用してください。

各曲については、#ノクターン #各論

で詳しく書きます。